1人1台端末(GIGAスクール)利活用の工夫について
特別支援教育・外国につながる児童生徒へ
【龍神】ICT技術活用のメリットは、それぞれ苦手な方法に縛られることなく、さまざまな学習方法の中から自分にあった方法で授業に参加できること。その上で、1人1台端末環境が本格的に始まって数ヶ月が経ちましたが、特別支援教育、外国につながる生徒児童への端末の活用について、どのような取り組みを行っているか。
【学校教育・人権教育担当理事】特別支援学級・通級指導教室における1人1台端末の活用は、各教科において児童生徒の特性や課題等、一人ひとりの状況に応じてさまざまなツール、アプリを活用している。外国につながる児童生徒への活用についても同様である。また、外国につながる子どもの教育支援プロジェクト事業を実施している。事業の実施にあたっては、外国につながる児童生徒数が多い学校の校長や担当者、三重県教育委員会指導主事等と実行委員会を組織し、大学の研究者にもアドバイザーとして参画をしていだきながら取り組みを進めている。今後も1人1台端末やICT技術を活用できるよう指導力と対応力の向上に努めていく。
端末持ち帰りについて
【龍神】津市では、コロナの第5波の影響で2学期のはじめに端末を持ち帰る時期がありました。指定校では先行して端末の持ち帰りを実施しています。現在までに見つかった課題、それを踏まえた今後の方向性はどうなっているか。また、持ち帰りに対しての保護者への情報発信・共有はしっかり行っているか。今年の7月末時点での文科省の調査によれば、小・中学校での1人1台端末の活用状況について、全国の公立小・中学校の4分の1で、平時の端末の持ち帰りを実施しているとのこと。端末持ち帰りについてはさまざまな議論があることは理解しているが、「文房具のように端末を使う」といった観点から、家庭学習も授業も同じ学習の延長線上にある以上、平常時から持ち帰りをできるよ
う準備をしてほしい。
【学校教育・人権教育担当理事】コロナ禍による2学期初頭の持ち帰りについては、児童生徒の健康面と発達段階に応じ、集中できる時間に配慮するとともに、各家庭のインターネット環境を考慮し、オンライン学習と紙媒体の併用で実施した。長時間のインターネット接続など学習の進め方に課題が見られた。また、端末の破損も多く報告された。現在モデル校において、AIが出題・採点する機能をもつ学習教材の家庭での活用を研究や、児童生徒それぞれが選択するデジタル教材等を利用した課題に取り組む家庭学習の実践をしている。一律にすべての学校でいつから端末の持ち帰りをするか、というのは今の段階では決定していない。
産後うつ対策について
コロナ禍における変化はあったか
【龍神】日本経済新聞の記事によれば、2020年5~6月に行われた筑波大学の調査では、妊産婦の心の状態について約3千人を調べたところ、産後うつの可能性がある母親が約4人に1人いたことがわかったとのこと。通常は1割程度とされ、「コロナ禍で人とのふれあいが少なくなったりして、悩みを抱え込む女性が増えている可能性が高い」と調査を実施した准教授はコメントしている。この変化を把握しているか。津市の事業として産後ケア事業があるが、現在の利用状況はどうなっているか。
【健康医療担当理事】津市の産後ケア事業は、産後おおむね4ヶ月以内の体調不良や育児不安があり、家族などからの援助が受けられないなどの産婦を対象にし、最長7日までを限度とし、参加医療機関または助産所において宿泊、通所または利用者の自宅への訪問により、母子に対してのケアや育児相談を実施している。産後ケア事業の利用者は増加している。現在、保健師、助産師による赤ちゃん訪問時に、妊産婦のメンタルヘルスを調査するために、気持ちが落ち込んだり憂鬱になられている方を対象に、「エジンバラ産後うつ病質問表(EPDS)」を用いて聞き取りを行っている。これらのデータをみると本市ではコロナ禍の前後で変化はみられていない。
デジタル活用を進める環境と組織を(自治体DX関連)
【龍神】行政におけるデジタル改革を行うには、各課において実務から出てくるアイデアや意見の吸い上げが重要で、それらを管轄する専門性の高いグループが必要だと思う。市民サービスの充実を含むデジタル活用を技術面からサポートし、デジタル人材の結集と育成の機能を持つ組織が個人的に必要だと考えているが。すでに前回までの質問で、こういったデジタル部局や専門官の設置は否定された。現場の意見を集約し実現に移す仕組みができているか。自治体DXひいてはスマートシティを進めるために津市も何らかの計画を示すべきだと思うがどのように考えているか。
【総務部長】各課に一定以上の知識を有する職員やICT技術を利用して業務改善に取り組む職員を情報化推進委員として配置している。組織的には情報企画課がハブとなり、情報化推進委員を通じて各課の問題を吸い上げ、対応している。今後も、業務効率化や働き方改革に対応できるよう新たな技術の利活用を進めていく。計画については、国が策定した自治体DX推進手順書において、DXの取り組みについて自治体の主なスケジュールが示されており、津市もこれをもとにDXを進めていく。
子どもの水難事故予防にライフジャケット活用を
【龍神】海や川にいく際にライフジャケットをいつも携帯して、といった状況に現在はないとの認識を持っている。しかし、いつ水難事故に遭遇するかはわからない。学習指導要領に安全確保につながる運動として「続けて長く浮くことができること」とある。泳法など、技術を身につけることも大切ではあるものの、同時に、ライフジャケットの使用方法を教え、その重要性を周知することは大切ではないかと思う。オフシーズンのいまから考え、来年度以降の教育に活かしていくべきだと考えるが、どうか。
【学校教育・人権教育担当理事】学習指導要領では、小中学校の水泳指導について、「浮いて進む運動」「潜る・浮く運動」が定めてられている。ライフジャケットは浮くことに特化していることから、水泳指導における進んだり潜ったりすることを通して学習するには適さないと考えるため、ライフジャケットを水泳の授業において使うことは考えていない。なお、学校における校外学習、たとえばカヤック体験等ではライフジャケットを着用した学習を行っている。
国体中止を受けたスポーツ振興について
【龍神】インフラの整備、地元の小学校・中学校・高校などさまざまな場所でスポーツの振興が行われること、関係するチームの強化が図られること、市民が多様なスポーツに触れる機会が増えることは国体のメリット。 その国体が中止となり、先の補正予算で、スポーツ振興基金をつくることが決まった。どのようにこの基金を使っていくかを含めて、今後の津市のスポーツ振興の進め方について大枠の考え方を伺いたい。またスポーツ振興の具体的な計画を作るべきだと考えるが、どうか。
【市長】 国体の中止を受けて、2億5千万規模でスポーツ基金を作った。来年度から5年間ほどスポーツ振興に集中的に取り組む。市内のスポーツ関係者の皆様と話をしており、振興の柱として3つほど考えている。ジュニア選手の育成や体験会や合宿・遠征への支援などを通しての競技団体の活動の後押し、パラスポーツの振興、市民の皆様が日常的に使う施設の充実のため集中的な修繕改修への取り組みなど。それらを令和4年度の当初予算に盛り込む準備をしている。計画については、津市のスポーツ推進審議会に諮問をし、施設整備の計画を作ろうと議論いただいている。展開の方向性を決めていきたい。